夏目アラタの結婚
作品 | 漫画 |
ジャンル | ミステリー・サスペンス |
掲載雑誌 | ビッグコミックスペリオール |
作者 | 乃木坂太郎 |
連載 | 2019年~連載中 |
総合評価 | |
大まかな感想 | 引き込まれるような心理戦・主人公の葛藤・ヒロインの魅力・事件の真相と読み進めれば進めるほど先に気になる展開で、ミステリー・サスペンス好きには堪らない漫画だと思います。 |
「-これは、最も先の読めない結婚-」
私は「夏目アラタの結婚」をネットで流れて来る広告で知りました。数年ほど前にこのタイトルを見たことがある人もいるのではないでしょうか。
「いやあああ!!!めちゃくちゃ面白いです!!!!」
完全に私好みの漫画です。こういったジャンルは内容を面白くさせるのが難しいので凄く貴重です。バトル漫画とか異世界転生とかラブコメは面白いのがぽんぽん出てきますからね。
実はなんと、この作品2023年5月時点で映画化が決定しており、これからさらに大きく話題になると思います。
最新コミックス第10集、発売中🤨‖🤡
— 夏目アラタの結婚@乃木坂太郎【公式】🤨‖🤡 映画化決定🎬 (@ARATA_superior) June 9, 2023
&
!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!映画化決定!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!#夏目アラタの結婚 #乃木坂太郎 pic.twitter.com/J8b1h5tMuN
ストーリー
物語は「児童相談所」に勤務する主人公「夏目アラタ」が、3人の男性を殺害し、遺体をバラバラに切り刻んで遺棄した罪状で死刑判決を受けた女性。通称「品川ピエロ」に「タキシード」を着て会いに行くところから始まります。
アラタは連続殺人犯の被害者である「山下卓斗」という少年から「父を殺した犯人に代わりに会って欲しい」という依頼を受け、発見されていない父親の首の隠し場所を聞き出そうと、品川ピエロと呼ばれる死刑囚の品川真珠と面会をするが、
面会中にボロが出てしまい、品川真珠から情報聞き出すのに失敗しそうになって、興味を引く為に言ってしまった一言「俺と、結婚しよーぜ!!」から物語が展開していきます。
殺人の罪で死刑になろうとしている人に対して、「俺と、結婚しよーぜ!!」と言ってしまう時点でもうかなり気になりますよね。
ここからの主人公の思惑やヒロイン(死刑囚)の発言が面白くて引き込まれるんですよ。
ヒロインが死刑囚というパターンの漫画はなかなか読めないと思います。それが話の主軸でもありますし、
「こんな題材でどうやって話進めるの…?」
って思っちゃいます。それでもグダったりせずにどんどん展開が進んでいくので、「やっぱり乃木坂太郎先生すげぇ…」って思いつつ読み進めちゃいます。
気になる方は上記から試し読みしてみてください。結構がっつり読めます。
医龍の乃木坂太郎先生
私が興味を持ったキッカケでもあるのですが、この作品を描いている人はあの「医龍」を描いている「乃木坂太郎」先生なのです。
一時期医龍を読んでドはまりしていた私にとっては、「この人が描いている」というだけで読む理由になりました。
完全な医療系漫画の王道です。「深い漫画」「熱の籠った漫画」「人間の心情に触れる漫画」が読みたい方は是非読んでみてください。一気に最後まで読んでしまいたくなる面白さです。
医龍といえばドラマのイメージが強い方が多いのではないでしょうか。ドラマでシーズン分けされるほどの人気長編になるのがよくわかります。
同じ作者なのに違う
因みになのですが、「医龍」「夏目アラタの結婚」はなかなか内容が違うように感じます。題材が違うから当然と言えば当然なのですが、同じ人が描いている漫画って同じ方向に向きやすいですよね。
同じ作者の作品を読んでいると、「この人のパターン来たな」とか「似たようなキャラ来たな」とか思うことが多いです。
しかしこの作品に関しては、同じ作者が描いていることを忘れてしまうくらいの「違い」を私は感じました。これはいい意味でです。
全然違うのにクオリティに関しては引けを取らないのが本当に凄い所です。
同じように感じる点としては、キャラの「心理模写」のレベルの高さです。この漫画は心理戦が多いので、かなりキャラの心象を見ることになります。
「キャラの背景」「ストーリー」「会話の流れ」などなど、いろいろ計算された表現からくる心理模写は私の語彙力では表しきれないくらい凄いです。
そんな時に「医龍の人だなぁ」って感じます。医龍もその部分が後半にかけてさらに高まっていくので、完結していない夏目アラタの結婚がどこまで高まるか凄く楽しみです。
面白いポイント
上記のセリフの引用元の動画です。見てください見たくなります。
表情が凄い
乃木坂太郎先生のキャラは、表情での感情表現がいろんな意味で強いです。言い表すと「本当に感情が滲み出ている」って感じがして見ごたえがあります。
表情による感情表現ってわかりやすいのが「怒り」「喜び」「悲しみ」くらいですけど、先生のキャラは「凄く微妙」「なんか嫌」「嬉しいけど複雑」みたいな表すのが困難な表情とかもめちゃくちゃ伝わります。
いろいろ画像を貼っつけてしまいたい…!
(公式アカウント様RT↓)
品川真珠(夏目アラタの結婚)
— 壱休 (@1919ikyu) July 17, 2023
ビッグコミックスペリオールで連載中、物語はいよいよ佳境。未読の方は損してる。是非ご一読を。
「医龍」、「幽霊塔」の乃木坂太郎先生が描く表情、本当にすごいぜ… pic.twitter.com/iPRmwOxsJJ
見ごたえのある心理戦
主人公が常に「情報を聞き出す」「思惑を見抜く」みたいなことをしているので、心理戦が沢山みれます。それに加えて、上記でも説明したようにレベルの高い「心理模写」が合わさり、とても見応えのあるシーンが楽しめます。
主人公もヒロインもかなり頭がいいです。なので、頭が良くないけどこういった作品が好きな私は、その高レベルの読み合いをわかった風に見続けられて気分がいいです!そういった楽しみ方もありだと思います!
魅力あるヒロイン
何度も言いますが、この作品はヒロインが死刑囚です。そのヒロインから情報を聞き出すために奮闘するお話なので、敵であり、ライバルであり、ラスボス?であり、ヒロイン!というとても奇怪で興味をそそられる状態です。
「可愛い」「不気味」「怖い」「けどなんか惹かれる」という他では味わえない気持ちになります。その部分からでる主人公の葛藤とかも見ていて楽しいんですよね。
これはかなり個人的な意見なのですが、主人公の結婚への価値感がかなり共感できるんです。
主人公は独身願望を持っているのですが、私も独身願望が強く共感することが多いです。最近の人には結構主人公に共感できることが多いのではないでしょうか。これもこの作品の見所の一つと言っていいかもしれません。
「結婚」がテーマなので、「独身がいいか・結婚する方がいいが」みたいなことをよく考えている人は凄いオススメできます。
既婚者の人がみても「やばいわかる…」となる場面がなかなかあるようなので、既婚者の人にもちゃんとオススメです。
合わない人
「会話」がメインの作品なので、どうしても文字が多くなります。ノリで一気に読める少年漫画タイプが好きな人は途中で離れてしまうかもしれません。
あと、ただ何も考えずに読むよりも、自分でも考察を混ぜたり、展開を予測しながら読むのが楽しいので、「話が知りたい」「とりあえず結末が知りたい」みたいな人は、追いながら読むのは難しく途中で気がそれていく可能性ありです(私の友人がそうでした)
あと、何回か読み直すのがベストな漫画だと思うので、コミックを購入していない、一気読みが出来ない、という人は楽しみづらいと思います。
漫画を読む体力多めで、サっと読むのではなく、ズブズブに作品浸かって読める人推奨です。
今回はネタバレ無しでレビューをさせて頂きましたが、映画で話題に上がるとネタバレを踏んでしまうかもしれません。
勿論アクションのバトルなどがあるわけでもなく、内容重視の作品なのでネタバレは致命的です。変にタイミングで知ってしまう前に、話題になって今より人気になる前に、この作品を知った今のうちに是非読んでみてください。
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